ランニングによる腰の痛みの原因と対策

ランニングを始めたばかりの方に多くみられるのが、

「長時間のランニングをした後に腰が痛む…」

といった症状です。

ランニング運動における腰部の役割は、上肢と下肢の連動性を生み出したり、姿勢を保持したりするための重要な部位になります。

また、腰は一度痛めてしまうと慢性化しやすく、一時的に良くなっても何度も繰り返してしまうといった特徴があるので、早急な根本的改善が必要とされます。

ここでは、ランニングによる腰の痛みの種類と症状、その原因と対策を解説していきたいと思います。

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膝の痛みの症状と発症原因

姿勢が原因による腰痛

背中を丸めた姿勢でランニングをしてしまうと、骨盤が後方に倒れてしまい、股関節を後方に引くことが難しくなってしまうので、歩幅が小さくなりなります。

歩幅が小さい状態でランニングをすると、上体を前方へ運ぶ動作に無理が生じてきてしまうので、結果として無意識のうちに腰に負担をかけながら走るという状態を作り上げてしまいます。

また、背中や腰を丸めた状態で足を着地させると、腰の筋肉に過剰の負荷がかかってしまいまい、これが、腰部の筋肉に痛みを生じさせてしまいます。

逆に、腰を反るような姿勢で走ってしまうと、骨盤は必要以上に前傾してしまい、地面を蹴る時に更に腰を反るような状態を作り出してしまいます。
こうなってしまうと、腰部の筋肉が過緊張を起こしてしまったり、腰椎に炎症を引き起こしてしまったりして、腰痛を発症させてしまいます。

筋肉や筋膜が原因による腰痛

筋肉や筋膜に異常があると、腰椎周辺の筋や筋膜が本来の機能を失い、正常に伸び縮みしなくなってしまい腰痛の引き金を生み出してしまいます。

特に、筋膜に異常がある状態を筋膜性疼痛症候群というのですが、これは、筋膜が厚くなったり、滑りが悪くなったりすることによって引き起こされる症状になります。

本来であれば、重なり合う筋肉と筋肉は筋膜によって筋肉同士の癒着や摩擦を防ぐのですが、腰周辺の筋膜の滑りが悪くなってしまうと、それが腰の筋肉にストレスを与えてしまい、腰痛を引き起こしてしまいます。

また、腰周辺の筋肉に硬さが見られると、腹横筋・内腹斜筋・多裂筋・骨盤底筋・横隔膜などの活動バランスにエラーが生じて、ランニングする際に腰への負担が大きくなってしまい、腰に痛みを発症させてしまいます。

腰椎や椎間板が原因による腰痛

椎間板にはランニング中の地面から受ける衝撃を吸収する役割があるのですが、椎間板が消耗してしまうと、ランニングすることによって腰痛が生じる場合があります。

椎間板は水分が主な成分となっていて、年齢とともにその水分量は減っていきます。 その状態で椎間板に過剰な圧力がかると、内部組織が飛び出て神経を圧迫して椎間板ヘルニアとして強い痛みが引き起こされます。

また、腰椎に硬さが見られると、腰部の筋肉に強張りを発生させて、下半身の筋肉をスムーズに動員することが難しくなります。

筋肉が上手く動作しないまま、ランニングをしてしまうと、その下にある腰椎に負担がかかってしまい、痛みを発生させるケースがあります。

坐骨神経痛

ランニング中は、坐骨神経に繋がっている筋肉を多く使うため、坐骨神経が圧迫されると腰や臀部から片脚または両脚にかけて痛みが生じる場合があります。

坐骨神経を圧迫させる原因としては、『腰椎椎間板ヘルニア』や『腰部脊柱管狭窄症』、『梨状筋症候群』などがあります。

腰椎椎間板ヘルニアは、背骨に過度な負担をかけることで発症し、腰部脊柱管狭窄症は、腰椎に負担がかかることで発症します。 梨状筋症候群は、主に臀部の筋肉の異常収縮が原因で痛みが引き起こされます。

どの症状も、腰部やそれに関連する筋肉の機能低下やコンディション不良から引き起こされる痛みになります。

腰の痛みが発症しやすい走り方と対処法

「腰痛の原因は人の数だけある」と言われるくらい無数に存在するのですが、腰に痛みを発症させてしまう人の走り方という観点で見てみると、その要因は大きく3つの分けることができます。

ここでは、腰痛を引き起こしてしまう走り方の特徴をご紹介してみたいと思います。

体幹を正しく使えていない

ランニングをすると腰に痛みが出る大きな要因の一つに姿勢の悪さというのがあります。

例えば、腰が曲がってしまっていたり、猫背や反り腰のような姿勢で走ってしまっていたりするのが際たる例だと思います。

そして、そんな、走る時の姿勢に関わる部位の一つが体幹です。

よく、「体幹を使って走りましょう!」と聞いたりすることがあると思いますが、どういう状態が体幹を使って走っている状態かを正確に答えられる人はそんなに多くはありません。

まず、ランニングにおける体幹の役割は、姿勢の保持やバランスを安定させる、ジャンプ運動をする際のバネとしての機能などが挙げられます。

そして、このような機能を発揮させるために、ついつい体幹に力を入れてしまう人が多いのですが、実はランニングをしている最中に体幹に力を入れるのはNGです。

体幹に限らず腕や脚など、他の筋肉も全部そうですが、筋肉というのは力を入れると固まります。
そして、筋肉は固めた状態だとエネルギーを生み出しません。
筋肉というのは、伸び縮みさせることによって初めてエネルギーを生み出します。

つまり、走っている最中も体幹に力を入れて固めてしまうと、その機能を発揮させることができないばかりか、腹部や腰背部に過緊張を引き起こしてしまって、腰痛の原因を作り出してしまいます。

体幹を固めて姿勢を保持することで、一見、良い姿勢で走っているように見えるのですが、余計な力が入ってしまっている分、バネとしての機能が損なわれてしまって、ジャンプ運動でもあるランニング運動を繰り返すことで、逆に腰部に負担がかかってしまいます。

ンニング中の体幹の理想的な使い方は、伸ばした状態でも力を入れて縮めた状態でもなく、適度にリラックスさせたニュートラルを保つことで、腰への負担を軽減してくれます。

脊柱が機能していない

脊柱というのは、手足の筋肉を動かす運動神経にも関与していたり、知覚神経や自律神経などの神経系や内臓の働きを調整したりする役割もあるので、人間の身体にとってとても重要な部位になります。

ランニング運動においては、姿勢や安定性の保持、身体の動きを円滑にするといった役割も果たしています。

そんな脊柱には、脊柱起立筋という、頭部から背骨、骨盤まで付随している筋肉が大きく関与しています。

この脊柱起立筋には、身体全身の筋肉緊張を調整する役割があります。

脊柱起立筋は棘筋・最長筋・長肋筋という3つの背中にある筋肉から構成されているのですが、脊柱起立筋の過剰収縮や筋緊張は、腰痛を引き起こす原因にもなります。

日頃から、脊柱や脊柱周辺の可動性や柔軟性を持たせておくと、脊柱起立筋自体がリラックスして、ランニング運動の円滑化や腰痛のリスクの軽減に繋がっていきます。

骨盤が動いていない

骨盤は、上半身と下半身の連携をとって身体全身のバランスを保ったり、股関節との連動であらゆる動作のサポートをしたりする大事な骨になります。

骨盤は、仙骨・尾骨・寛骨の3つの骨から形成されていて、寛骨は、さらに腸骨・恥骨・坐骨の3つの骨で構成されています。

ランニングの際の主な役割は、仙骨と腸骨の間にある仙腸関節の関節可動が、サスペンションの役割を担います。
つまり、走っている時の衝撃を上半身まで伝えないために、仙腸関節でその衝撃を緩衝しています。

骨盤周りの筋肉が凝り固まって、仙腸関節の可動不全が起きてしまうと、サスペンションとして機能しなくなってしまいます。

そうすると、仙腸関節で緩衝するはずだった衝撃を、腰部の筋肉で補おうとするので、腰に過度な負担がかかってしまいます。

また、骨盤は、ランニング運動において、上半身の動きを下半身に、下半身の動きを上半身に、上手く連動させる役割を担っています。

上半身と下半身の動きに連動性がないフォームで走ってしまうと、骨盤周辺の筋肉(骨盤底筋群・大腰筋・腸骨筋・内転筋・中臀筋・梨状筋・腰方形筋・最長筋)に余分なストレスがかかってしまうので、走った後に腰が痛むなどの症状が出てきてしまいます。

ランニングをする前に、仙腸関節のストレッチをしてあげると、ランニング中の腰への負担が減少して、ランニング運動の円滑化に繋がっていきます。

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